賽の河原

ワンダー 君は太陽の賽の河原のレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
4.5
filmarksとか観てると、わりかし映画好きな人ほど「いや、安定したハイスペ家庭に生まれてなかったらどうなんねん!」とか「みんないい人すぎやろ!」とか「悪役サイドの描かれ方が〜」「なんかダイジェスト感あるよね」みたいな苦言を呈されてる方もいらして、「まあそれはそうやな」と思わないでもないですけど、私は諸手を挙げて賞賛したい素晴らしい映画だと思いましたね。
「もうコイツ何回言ってんねん...」感ありますけど例年なら今年ベスト級の作品でしたわ。
まあ顔が変形してるオギーくんっていう主人公が学校に通うって話で、この筋でいくと割と「はいはい学校の皆んなに認められて感動みたいな感動ポルノ系の話っすねー」みたいなテンションなんですけど、実はそれだけではなくて、話の視点がスライドしていってオギーくんの周りの人たちの葛藤とかが描かれるっていうね。
美術とかもね、「ああ、お母さん、オギーに自宅ですっげえ勉強教えてきたんだな...」とかさ、オーウェン・ウィルソン演じる包容感がありつつもちょっと軽いヘラヘラした感じのお父さん最高!とか、迷惑かけないように自分の人生を抑圧してきたお姉さんが「演劇」という形で自らを解放するくだりですとか、最初はヘルメットを被って「下」を見ることしか出来なかったオギーが素顔で「上」を見ることが出来るようになるっていう映像的なカタルシスもいいですし、スターウォーズネタや宇宙飛行士ネタで状況を映画的なフィクションで描くですとかね、マインクラフトで「ぶへぇ...」ってなるとは思いませんでしたよ。
何より「障害を抱えているキャラクターが社会に受け入れられる」っていうポリコレ的なストーリーだけじゃなく、なんなら社会にいるみんなが、登場人物みんなが、どこかコンプレックスとか欠落を抱えつつも「みんな戦ってるんだよ!」っていうのが優しく普遍的な視点で描かれているのがステキな映画だと僕は思いましたよ。
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