幾重にも重なった手術で人違う顔をもった主人公・オギーを中心に巻き起こる群像劇
この物語の肝はオギーだけの話ではないということだと思う
むしろオギーは常にユーモラスで自ら状況を打開していくヒーローのような存在で、まさに「太陽」である
その「太陽」の光に照らされて、他の登場人物たちも自ら輝きを放つようになっていく…というところが素晴らしい
登場するほぼ全ての人間が成長する物語なのだ
特にのちに親友となる友達とオギーの姉の物語は強く胸に響いた。登場する人物たちの多くが葛藤を抱えながらも、持ち前の優しさと鑑賞者に驚きを与える言動やユーモアで新しい自分に生まれ変わっていく
劇中で姉がソートンワイルダーの「わが町」を演じるのも印象深い。私は高校の頃に学校で演劇の授業があり、そこで「わが町」を演じた。「わが町」は忙しい人生の中で立ち止まって日常を愛しむ暇はなかったけれど死んでみたらなんて全てが素晴らしかったんだろう、と後悔するような話だ。その日常や身近な人々に目を向けるというテーマは、まさにオギーの姉が悩んできた「自分を見てほしい」という悩みとそれとは裏腹に「自分はちゃんと見れていたのだろうか」ということに繋がっている気がする
この映画はあまりにも優しく、都合が良すぎると感じる人もいるだろう。しかし、こうであってほしいと思うものをしっかりと見せてくれる映画は私は好きだ
オギーの顔ちょっとチューバッカに似てるなあ…と思ってたら本当にチューバッカ出てきたりするのでチューバッカ映画としてもオススメだし…(笑)
あえてツッコミをいれるとしたら親友がアイスクリームショップでオギーを見かけた話を母親とするシーン(オギーと出会う前)。あそこは親友の大事な動機を作るところなので会話ではなく回想でもいいからシーンでみたかったと思う
とにかく優しいし変な重さや嫌味もない映画。結構笑えるしみんなかわいいし勇気もらえるしオススメです!
ただ人前で泣きたくない人や化粧落ちるの嫌な人は一人でDVDで鑑賞したほうがいいかも…(笑)