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ワンダー 君は太陽のShelbyのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
3.8
泣けた。なんなら序盤、寧ろ物語が始まって、分かりやすいほどの家族の愛の深さが窺えたところから涙が溢れて止まらなかった。

幼いながらに、自分の顔が皆とは違うことをオギーは悟っていたのだ。そのせいで受けてきた差別の数々。自分を見る好奇の目に、散々傷ついてきただろう。解説がなくとも容易に察しがつく。
そのバックグラウンドを考えるとほんとに涙が止まらなくて、大変だった。そして、オギーを取り巻く周囲の人々、特に家族達がまた素晴らしい。障害に負けないように。強い子になって欲しくて。少し無理してでも、5年生という中途半端な学年からだが、学校に通わせ始める。
大きな決意を下した両親の偉大さを考えると自分だったらその決断が出来たかどうか怪しいものだ。

オギーのあの精神力は大人顔負けである。
勿論周りのサポートなしではポキッと彼の心は容易に折れていたであろう。それほど多くの障害物、障壁がある人生を歩んでいるのだから。
けれど、そうなってもおかしくない環境の中で、彼は腐ることなく、何度でも這い上がる。立ち上がって、目の前の壁に立ち向かう道を選ぶ。
ユーモアさと、他人を思いやれる優しさ、そして何度でもチャレンジすることを恐れない強さ。
オギーから学ぶことは、大人の私たちであるからこそ、多いはず。

胸が熱くなるシーンが大渋滞するこの作品。
少しづつ、オギーの人柄に触れ周囲の自分を見る目に変化が訪れる。ジャックやサマー。そしてイジメに加担していた男子生徒達も最後にはオギーの味方をしてくれる。オギーだけではなく、そんな弟を持つことで、両親から目を掛けられない姉のヴィア。いい子であるからこそ、寂しさや苦しさを両親に伝えることが出来ない。両親の中心にいるのはいつも、オギーなのだから。そのヴィアの苦悩が痛々しいほど胸に突き刺さる。
他にも理解のある校長先生の優しさや、両親の人間力の豊かさ。ここに書き出しきれない程、沢山の名シーンが存在する。

いい所が沢山ある今作品だったし、沢山泣かされた。が、1つ気になった点が。それは、オギー以外の登場人物にそれぞれスポットライトを当て彼等の背景まで描かれていたこと。それ自体は、全く問題がないし、寧ろよくある手法のようにも思える。ただ、各々にスポットライトを当てる時間が長すぎてオギーに対する純粋なメインの物語に入り込むための雑味のようにも思えた。
ヴィア一人程度で留めておいてもらえたほうがもっと大号泣出来たし、ストーリーの奥深さも出たように感じた。

そんな文句を言いつつも、ひとりひとりの役者陣の演技が生き生きとしていたし、良作であることには間違いない。ラストはやはり展開が分かっていたとしてもやはり泣けてしまうもので。
純粋で温かい涙を流せる、清々しいほど貫き通した良作でした。
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