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ワンダー 君は太陽のn43takenokoのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
4.7
穏やかな気持ちになる映画。
「辛い時は楽しい事を考えて」っていうアドバイスのもと、冷たい視線を宇宙飛行士になった自分への注目の眼差しに変換するシーンでグッときた。

全然お涙頂戴じゃなくて、オギーと周りの人のユーモアと優しさのほうが勝ってて素敵。
母さん強い、父さん楽しくて優しい、姉ちゃんも優しくて美人、愛ある素敵な人に囲まれて、オギーも我慢強い賢い子。

作り手の人間への大きな愛を感じるなぁと思った。原作本がどういう意図で書かれたのか凄く気になって、翻訳本の公式サイトを見て、なるほど思った。

作者(女性)が3歳の息子とでかけた時に、オギーみたいな女の子がいて、息子が怖がって大声で泣いたそうだ。作者は女の子を傷つけたくなくて、その場から急いで去ろうとした時に、女の子の母親が優しい声で「そろそろ行かなくちゃね」と言って去っていった。その言葉が心にグサッと刺さったと。

そのあと、あの親子は毎日何回もあんなシーンに遭うのだろう、一日中自分の行動を考えて後悔し、あの時すべきだったのは、息子を遠ざけることではなく、女の子と、女の子の母親に話しかけることだった。息子には、怖がることなど何もないよと言うべきだった、と。

…かなり省略したけれど、その感受性を支持する。そういう日常のちょっとしたエピソードやひとつの言葉から背景を想像して、相手を思いやって、自分も行動を起こす。そんな風にして出来た物語なのだということに静かに強く感動した。
作品をみた次の日、仕事帰りに本をゲット。続編も。
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