もやし

ワンダー 君は太陽のもやしのレビュー・感想・評価

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)
4.9
上映当時、写真とあらすじと予告見て、絶対こんな映画見てやるもんかって思ってたけど笑、やっと見ました笑 単純に言い表せないけど、特別な一本になったなと思います。
でも、この映画を見た感想を正確に記すのは、ちょっと気が重くなるレベルだな…笑



元々自分は生まれつき何かを持って生まれてしまった人間の話にはとてもひねくれた視点を持って見てしまう癖があるのですが、それを前向きな切なさに落とし込もうとする映画が嫌いで。それに関してこの映画はどうなのかってのは無駄に長くなるのでやめときます笑
でもだからって、後ろ向きに、どうしようもないよね悲しいよねでもその中に大切なことってあるよねで済ませていいのかっていうのにも疑問があって。
どうしようもないからってどうしようもないで済ませていいのかって。
でも当人からすりゃいやだって毎回理不尽にさらされてればもう気持ち的には割り切るしかないし、それに何か前向きな姿勢を求めることは酷でしかないでしょって話で。だからこの映画も当然の如く感動ポルノとか言われたりもしてるわけだけど。

私は不幸だ私は不幸だ、で生きてることが本当に満足いくものになるのかっていう悩みに苦しんでいた今の自分には響くものがありました。


沢山登場人物が出てきて視点がどんどん切り替わり、様々な事情、苦しみが出てきて、圧倒的な悩みを持つオギーエピソードに対する形になっていて、悩みというものの特質や(当たり前なんだけど)多様性がわかる。人の悩みって見てるだけで泣きたくなるよね。お姉ちゃんの悩みと恋ヤバくない?笑

人が抱く大切な想いに焦点を当てたこの映画は、否が応でも心に響くストーリーになっているが、この映画にどこか綺麗事の匂いを感じ取ってしまう正体は何なのかと考えたときに、個人的には悪い意味での「環境のリセットと人との別れ」がないことだと思う。
一度信頼を勝ち得た相手とは絆が深くなるばかりで、それが否応なく断ち切られる苦しみが描かれない。
オギーのような人間にはそこが最も苦しみとするところだろうし、それを描かないのは人生を描く映画としてフェアじゃない。
オギーの人生はこれからの方が圧倒的に長い。
でもそんなのはただの屁理屈だし、人は大切な時期がなければ自分の人生を肯定できうるはずもないのだから、その大切な時期を描いた映画ということなんだろう。


オギーが別に他の人と比べて精神的に大人であるわけではないんだということを明確に描きながらも、それでも彼の内なる魅力が周りを変えたんだとする結末(そして周りの人達の内なる優しさ)には、かなり心打たれるものがありました。
これはもうオギーの生きる姿勢に他ならないわけで、ここなら自分ももしかしたら真似できる部分なのかもしれないと思いました。理不尽な色眼鏡に心がやられてしまう日々を経ながらも。
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