百々子

女を修理する男の百々子のレビュー・感想・評価

女を修理する男(2015年製作の映画)
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再びの評価できない映画。
大学で無料上演会が開かれたので見てきました。

これはできるだけ多くの人が見たほうがいいと思う。
インターネットで調べるだけじゃ出てこない情報とか、想像できない現実の様子が、映像だと切実さを以ってよくわかる。

シエラレオネのダイアモンド紛争のように、コンゴ民主共和国の犠牲に火をつけているのは、わたしたちの使っているスマホ。
レアメタル採掘のために、武力組織が周辺の集落で性犯罪や殺戮を犯す。
もはや性犯罪の目的は性的快楽ではなく、武器であり戦術となっている。
それは、性犯罪が人間の尊厳に屈辱を与え、精神を破壊するものだから。
採掘地周辺のコミュニティで性犯罪を繰り返すことで、恐怖を感じた住民を強制移住させ、コミュニティを瓦解させる効果を狙っているのだ。

そのために多くの女性が犠牲になり、身体と心と人生を傷つけられてる。
望まない子供を妊娠する女性もいる。
ついにターゲットは子供にまで向き、8歳や生後5ヶ月や2ヶ月の赤ちゃんまでレイプの対象にされている。
性器をナイフで刺されたり、乱暴な性行為のために肛門と膣が繋がってしまうケースもある。(そしてそれは何度も起きている)
そのように治らない傷を負った女性や子供は、一生子供を持てない体になったり、性行為すらできない体になっている。

このドキュメンタリーは、
このような女性を3万人以上救い、人権活動家としても活動するムクウェゲ医師の物語。
彼は何度も政府に脅迫され、時には命の危機に晒されても屈せず、今は国連部隊の護衛をつけながら医療活動と国内外での啓発活動を行っている。
彼は長年医師として貢献し、地域の女性から絶大な支持を集めていたけど、ある出来事を機に手術室や病院だけでなく、外での人権活動にも力を入れるようになった。
それは、彼が同じ女性を複数回処置していることに気づいたとき。
彼がとりあげた赤ん坊が、8歳のときに性暴力に遭い患者となってやってきたとき、彼はこの国で起きている事態の異常性を改めて実感したのだという。

この映画に登場する女性は皆、美しくて強い。
でも晒されている現実はあんまりにも恐ろしくて残酷。

でもその原因がわたしたちの毎日使ってるスマートホンである以上他人事じゃないはず。
今これスマホで打ってるんだけど、
さっきこの映画見てから罪悪感が…。
せめて自分の使ってるiPhoneに使われてるレアメタルがどこから来てるのかくらいは知りたいなと思いました。
ダイアモンドみたいに流通に規制がされたり、消費者が原産地で選べるようになるために、
まずはこの映画が広まるといいな。
百々子

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