公開時劇場で。
こんな爽やかなタイトルと爽やかなジャケットから実録海洋冒険ロマンかと思ったらそうではなく重めの展開で驚いた。ドナルド・クローハーストという人物を全く知らなかったのでこれを観てかなり興味が湧いた。
一発逆転を狙い賞金と名声を目当てに素人同然の男が単独無寄港世界一周ヨットレースに出る。それだけで無謀なのに出発前から装備の不具合だのなんだので延期につぐ延期でどう考えても準備不足。観てるこちらが不安。
愛する家族が待っていながらリタイアという選択肢はなく戻ることのできない、けど進むこともできない航海に出てしまったクローハースト、何ヶ月も海上にひとりぼっちで精神が蝕まれていく様が丁寧に描かれていた。日誌を残したあたり根はまじめというか本当は嘘のつけない人なのかなと思ったり。
毅然とした態度でマスコミに対応するレイチェル・ワイズの見せ場がとてもいい。
ヨハン・ヨハンソンの遺作。ドゥニ・ヴィルヌーヴ作品との相性がずば抜けてよかったヨハン・ヨハンソン、本作でも主張しすぎない心地いい素晴らしいスコアで作品が彩られた。