MasaichiYaguchi

潜水艦クルスクの生存者たちのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.8
トマス・ビンターベア監督がマティアス・スーナールツ、レア・セドゥー、コリン・ファースのキャストで、2000年にロシアで起きた原子力潜水艦事故を映画化した本作は、パニックサバイバルものや、ヒロイズムものとして描くのではなく、手記や調査結果をもとにその経緯を忠実に再現し、残された妻子や父母たちに視線を向けた物語として描いていく。
乗艦員118名を乗せた原子力潜水艦クルスクは軍事演習のため出航するのだが、艦内の魚雷が突然暴発して凄まじい炎が艦内を駆け巡る。
次々と命を落とす惨状に直面した主人公のミハイルは、爆発が起きた区画の封鎖を指示し、部下と安全な艦尾へ退避を始めるが、艦体は北極海の海底まで沈没し、僅か23名だけが生き残っただけだった。
海中の異変を察知した英国の海軍准将デイビッドはクルスク乗組員の救援を表明するが、ロシア政府は沈没事故の原因は他国船との衝突にあると主張し、軍事機密であるクルスクには近寄らせようとしない。
乗組員の命よりも国家の威信を優先する政府の態度に、ミハイルの妻ターニャたち家族は怒りを露わに抗議するが、政府は応じようとしない。
一方クルスク艦内の酸素が徐々に尽きていく中、果たして乗組員は家族のもとへ帰る事は出来るのか。