杜口

未知との遭遇 特別編の杜口のレビュー・感想・評価

未知との遭遇 特別編(1980年製作の映画)
4.5
スピルバーグはやっぱいいなあ。

未知の世界とこちらの世界とを繋ぐ扉。そこから射す光。宇宙船が接近すれば、車や郵便受けやらあらゆるものは揺れ出し、おもちゃは動き出す。
主人公は謎のぶつを執拗に作り続け、導かれし者はある場所へと歩き出す。宇宙人との交信は、光とあの印象的な音、そしてハンドサインで行われる。(関係ないけど、トリュフォーとハンドサインで通じ合った時の宇宙人の笑顔好き)極めつけは、丘から迫り出し現れる、山と宇宙船。

この未知との遭遇の本質は全て、映像と音に注ぎ込まれ、言葉での説明は退く。ひたすら言葉による意味付けを離れた映画に、鑑賞者は、逆光の中、影が薄らぎ飽和した光に包まれる主人公のように、息を呑み、言葉に詰まる体験に酔う。

まさに、人間の言葉や他、理性の範疇を超えた未知に遭遇する時の体験が、そのまま、映画体験として美しく流れる。そんな映画。


でも、やっぱり特別編の船内の描写は要らないね。スピルバーグも不本意だけども、追加シーンを撮るための条件として出されたので入れざるを得なかったからやったみたいだし。
未知はある一定のライン以上は未知であり続けるからこそ、夢があって、面白いと思うんじゃないかなあと、思いました。
杜口

杜口