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信仰と冒涜の狭間のprasticのレビュー・感想・評価

信仰と冒涜の狭間(2014年製作の映画)
4.0
カトリック教徒の家庭で育った娘が、進学した大学で進化論を教える教授に出会い、それ対し信心深い父が抗議。
教授と父の話は進化論vs創造論のディベート大会にまで発展してしまい、娘がキリスト者としての選択を迫られるという内容。

物語や映像作品として見たらちょっと退屈かもしれないけど(なにしろ根本はキリスト礼賛映画なので、合理論者にとっては不服な結末になる)
相入れない価値観の対立がどのようにあるのかの一例としてよく出来ていると思う。
娘や父、かれらを手助けする大学の友人たちの姿が自分のイメージしているキリスト教者のたち居ずまいと一致してよく描かれていると思った。

なかでも「神を生活に追加するか、神に人生を捧げるか、本当のキリスト教徒になれるかの違いがそこにある。」というセリフはまさにキリスト教的な実存における実感を表しているのではないか。

まあ、進化論が科学的に立証されるかどうかはここで最終的な問題にならない
ただ神に対してどう在るかということのみが問われている人生では、真実や事実は何の意味も持たなくなってしまう。
(むしろそのような圧倒的な全否定の上にこそ真の信仰というものは問われる)
こういう事態はポストトゥルース的な世情と重ね合わせていろいろ考えることができる気がしている。
あなたはこうで、私はこう。という実存的な選択の結果起こりうる対立が悲劇的なものにならないことを祈るばかり。
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