近藤真弥

ディヴァインの近藤真弥のレビュー・感想・評価

ディヴァイン(2016年製作の映画)
4.1
仕事で再見。フランス郊外で貧しい暮らしを強いられている少女ドゥニアが主人公の映画。貧しさから脱出するため犯罪に手を染め、さまざまな問題が降りかかる...というのはよくあるけど、本作がすごいのは、そこに貧困の再生産や階級の移動といったテーマを巧みに取り入れているところ。

ドゥニアは恋をするし、親友と楽しい時間も過ごす。それは一見、“貧しいながらもタフに生きる強い女性”という姿で私たちを楽しませてくれるけど、ドゥニアはタフになりたいのではなく、タフにならないと生きていけないからそう振る舞う。本作は、そうさせる世界の不公平さを突きつける作品です。愛、希望、友情という輝かしいものが平然と踏みにじられる現実。そんな映画に『Divines』と名づけたのは、痛烈な皮肉でしょう。こうした挑発にふさわしい説得力を本作は持ち合わせている。
近藤真弥

近藤真弥