ヒラツカ

ドッグ・イート・ドッグのヒラツカのレビュー・感想・評価

ドッグ・イート・ドッグ(2016年製作の映画)
3.1
オープニングから、ピンクの壁紙の部屋の中でいろんなワイプがうろうろする、こだわりまくった映像。また、モノクロとカラーの使い分けを、ダサいスーツの説明のためだけに使ったり、普通の画角では目線の方向を広くするところ、あえて詰まらせたり、なんだかいろいろとこだわった映像を出して来た。途中は、飽きたのかな、完全に中だるみで、おっさん3人がしょうもない会話を繰り広げて場を繋ぐ。でも、後半がまたよかった。スーパーの駐車場で、ニコラス・ケイジが婦人警官を殴りつけるシーンあたりから、ラストまでの一連は、ずいぶんと面白いものが観れた。
この監督は大御所のおじいさんだが、「タクシードライバー」の脚本家ということで、そうか、そりゃこんな感じになるわ、と言う感じだ。どうしても善悪がはっきりしない。完全なる善の、牧師の老夫婦が、なんでそんなことになってしまうのか。俺はどちらかというと、きちんとしたモラルを持っている派なので、こういう映画を見ると、どうも釈然としない「もやもや」が残ってしまう。これは悪い意味ではない、映画の体験は、そういう「もやもや」が醍醐味だ。
ウィレム・デフォーの、トレスポのベグビーを思わせるようなキレっぷりは好きだった。この人は、どんな映画でも絶対に裏切らず、何かしら爪痕を残してくれる。その一方で、ニコラス・ケイジ先輩は、特に見せ場もなく、誰でも良かった役を演じた。