gyaro311

ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期のgyaro311のレビュー・感想・評価

3.7
遅ればせながら機内で鑑賞。
ブリジット・ジョーンズの日記シリーズを観るのは、実は今作が初めて。
なので、ちゃんと理解できているか分かりませんが、
描かれているテーマは、ブリジット・ジョーンズの“ナルシシズムとのお別れ”かと。

ブリジット・ジョーンズの職場での会話は、
ナルシシズム=自己愛がこれでもか、
とばかりに充満している。
このナルシシズムとフェミニズムの融合した世界観こそが、
今シリーズ最大の特徴なのだろうと容易に想像がつく。

しかし、そのブリジット・ジョーンズも既に43歳。
初めて?子供を身籠もる。
ナルシストでフェミニンな
ブリジット・ジョーンズの欲求を満たしてくれる米国男性と
そういう寛容さをいまいち持たない保守的英国元彼の、
どちらの子供か分からない。
二人の男性の間で揺れる最後?の
ブリジットの恋愛模様を描いている。

去年、英国は懐古主義の台頭もあり、EU離脱を決めた。
自由と寛容さをウリにしてきた米国さえも、トランプ氏が大統領選に勝利。
世界は再び、個を抑制し、国家が前面に出る時代に突入したように思える。

では、これまでの人生で、おそらく史上究極の、「個人主義の時代」の恋愛を謳歌してきたであろうブリジットは、
自分とは異なる命をその身に宿した今、更なる自由と保守、どちらを選択するのか?
そして親の都合通りには生まれない子供は、果たしてどちらの男性の子供なのか?

大袈裟かもしれないけど、
第二次世界大戦後の欧米社会が、反戦と平和の誓いのもとに行ってきた個人主義の壮大な実験が、行き着く所まで来た先に、何があったのか?
その総決算の映画だと考えれば、非常に今という時代にマッチした感覚を感じ取ることができる映画だと思いました。

もちろん、一筋縄ではいかない“余韻”も、
ちゃんと用意されていましたが…

ぜひシリーズ全作を見て、
時代の変遷を感じてみたいです。
gyaro311

gyaro311