竜平

プルーフ・オブ・マイ・ライフの竜平のレビュー・感想・評価

4.0
天才数学教授とその娘を軸にして巻き起こる人間模様を描く。不安定な人々が織り成す脆く切なくも温かいヒューマンドラマ。

状況の説明もあまりないまま唐突に始まっていくんだけども、そこから徐々に伝わってくるような構成がまず良き。なんか舞台演劇っぽいなと思いながら見てて観賞後に調べてみたらまさにそっちからの映画化とのことで、勝手にガッツポーズ、ってのは関係ないとして、序盤も序盤からそんな展開の仕方に引き込まれるはず。精神を病んでいたという数学者の父親、彼と数年に渡って一緒に暮らしていたという娘、そこに関わってくる一人の生徒、この3人がメイン。グウィネス・パルトロウ、アンソニー・ホプキンス、ジェイク・ギレンホールといったキャストがこの物語を彩る。パルトロウは情緒不安定な、ってかメンヘラっぽい女性を好演。なんだけどこの性格というのも父親譲りのものだったり、暮らしの中で生まれたもののようにも見えてくるからなんとも切ない、てかリアル。ホプキンスはわりと最近の『ファーザー』での名演に通ずるような役柄、いやはや素晴らしい。ジェイギレがフレッシュ。親子愛に始まり、じつはある姉妹間の問題、男女間の恋愛や「信頼」に関わるすれ違い、才能うんぬんの衝突やら葛藤などとにかく多種多様なヒューマンドラマなのは間違いなくて、更に後半へ進むにつれて事実が判明していく様はサスペンスフルでもあるという、旨味が非常に多い印象。人間の繊細な部分に触れたい、みたいな時にお薦めしたい内容かな。

何か乗り越えよう、不安を抱えながらも先へ進もうというちょっとしたメッセージにも心を掴まれた次第。それがダイレクトでなくほんのりなとこがまた素敵。原題『Proof(証明)』の意味合いもガチッとハマってる気がするけどどうだろう。じつはそこまで期待せずに鑑賞したもんでちょっと油断してたんだけど、これは結構グッときてしまった。良作。
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