フランスの田舎サン・ソヴール・アン・ピュイーゼに育った女性で、15歳年上のアンリ・ゴーティエ=ヴィラールと結婚してパリに上京したシドニー=ガブリエル・コレット。ウィリー名義で作家活動する夫のゴーストライターとして密かに文才を開花させた彼女が、浮気を繰り返す夫の抑圧から解放されようともがく様を描いた伝記映画です。
『アリスのままで』でジュリアン・ムーアにオスカー主演女優賞をもたらしたウォッシュ・ウエストモアランドがカンヌで女優賞を獲得した『キャロル』のスタッフを携えて制作した2018年公開作品で、その二作と同様に主演を務めたスター女優キーラ・ナイトレイを盛り立てると批評家からの好評を得て多くの映画賞にノミネートされました。
まだ女性作家の少なかった世界大戦前から活躍して性の開放を主張した実在の人物を題材に、その活躍自体ではなく不遇だった苦渋の期間にフォーカスすることでテーマを強調します。エキセントリックな言動をエモーショナルに映すためややメロドラマ的な所はありますが、芯の強さのあるナイトレイの存在感が作品の根幹を支える一作です。