イチロヲ

ラサへの歩き方 祈りの2400kmのイチロヲのレビュー・感想・評価

3.5
チベット最東端の村に暮らす11名の老若男女が、ラサ経由のカイラス巡礼に出立する。五体投地の巡礼者たちを描いている、ロード・ムービー。原題は「カイラス」なのだが、日本人にはラサと言ったほうが伝わりやすいため、この邦題になっている。

本作はドキュメンタリーではなく、シナリオが用意されている劇映画の方式。だが、演者のチベット人が実際の生活様式を披露しており、五体投地による巡礼も長期ロケを敢行している(ラサからカイラスまでは、さすがに車でワープしたようだが)。

阿吽の呼吸で行動する、運命共同体としての巡礼者たちを、淡々と映像に収めていく。巡礼者には、ウジウジする人も、ガミガミする人もいない。一心同体となって祈りを捧げるのみ。この静けさが、アンビエントとヒーリング効果を生んでくる。

しかしながら、体調を崩してもなお、「五体投地を続けていくべき」という考え方には、同調しづらい部分がある。あと、どうしても気になってしまうのが「性欲の処理問題」のこと。女性はともかくとして、男性は夢精するまで我慢しているのだろうか。
イチロヲ

イチロヲ