くまのプーチンさん

ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦のくまのプーチンさんのレビュー・感想・評価

4.3
この春、ミュシャ展を楽しみましたが、その母国チェコが美しいばかりではなく、苦渋の歴史を持つ国であることを再認識した映画でした。現在、上映中の「ヒトラーへの285枚の葉書」を「静」のレジスタンス映画とするなら、この映画は「動」のレジスタンス映画。最近のはやりかもしれませんが、後半に向けて、これでもかというくらい激しい戦いが描かれます。「ハクソー・リッジ」を思い起こしましたが、沖縄戦と違って史実を知らないので、どうにかして彼らは生き残るのだろうかと、より胸が締め付けられる思いでした。そして、エンディング。詳しくは書きませんが、マリアが降臨するシーンは、エンディングロールの讃美歌と相まって、美しく、まさに神々しさすら感じさせます。作品は、トム・クルーズの「ワルキューレ」のように、実話を題材にした暗殺モノで、よくある題材ですが、シンプルなストーリーを見ごたえのある映画に仕立てており、戦争映画として今後に残る佳作と思います。