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ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦のshironのレビュー・感想・評価

5.0
邦題から、バリバリの精鋭部隊が暗殺計画を遂行した裏側を描くハードボイルドな映画をイメージしていましたが、
それよりも、作戦に青春を捧げた若者たちの葛藤と、彼らを支援した人々を描いた映画でした。
戦争なんて、ひとっっつも良いことない!!
戦争の全てが、不毛で馬鹿らしいと再確認できる作品です。

「成功したとしても、ヘタすりゃチェコの国が無くなりかねない。」と仲間のレジスタンスに反対されるような暗殺計画に、所詮戦争なんて政治的な国と国との駆け引きでしかないと感じました。
そして、最前線で犠牲になるのは市民たち。
それを半ば知りつつ任務を遂行する主人公たち。


ストーリーは歴史的事実なので、ネタバレは無いようなものですが、結末を知らずにご覧になる方もいらっしゃるでしょう。
そんな方は2回観るのが正解かもしれません。
トークゲストの海老名香葉子さんは2回ご覧になったそうで「2回目は最初から泣き通しで、涙が止まらなかった。」と、おっしゃってました。
確かに。実際に映画を観て納得。

とても丁寧に描かれているので、1回目は人物達に引き込まれ、彼らの目線から史実を一緒に追うような感覚になります。
おそらく2回目は、初めからカウントダウンを意識するので、彼らのかけがえのない日々を追うことになるのではないでしょうか?
そりゃ〜涙が止まらないし、戦争さえ無ければ!!と思わずにはいられないでしょう。゚(゚´Д`゚)゚。
(戦争があったから出逢えたとは思いたくない)


戦いのシーンは臨場感があって、思わず目を背けたくなりますが、
戦時中を語る人が減り、そのままにしておくと風化していくであろう大戦の出来事から目を背けない…それが平和な時代に生きる私の、最低限の責任ような気がして最後まで見届けました。
それに、今も紛争の只中にある地域もあるのですから、せめて、たまにフィクションを観て心を痛めるぐらいは。


見所は、密告に賞金がかけられていて、味方すら信用出来ない緊迫した状態のなかで芽生える同志の結束。
そして、ほのかな恋…。
ラストシーンは映画ならではの演出で、「せめてそうであってほしい。」と思わずにはいられません。

匿ってくれた家から去る時の、手の芝居が素晴らしい!

アタの演奏するバイオリンの音色が物悲しく、パジャマを着たまま練習しているシーンの緊張感も見応えがありました。


戦争映画が苦手な人にも、イケメン二人のバディ感にキュンキュンしちゃう楽しみ方もできますので、オススメですww

人を殺める緊張で手が震えるヤンに「深呼吸しろ!訓練を思い出せ!」と落ち着かせるヨゼフとか。

責任を感じて自分を責めるヨゼフを抱きしめるヤンとか。

一本で二度美味しい。( ̄+ー ̄)
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