『激しさのハクソーリッジ。静寂のハイドリヒを撃て!』
第二次世界大戦下のチェコはナチスに占領されていた。イギリスに亡命していた軍人のヨゼフとヤンはナチス親衛隊大将のハイドリヒ暗殺の為に潜入するのだった…
新宿武蔵野館で鑑賞したんですがお盆休みとはいえ平日にも、かかわらず満席。前回も次回も満席でした。もうちょい大きなシネコンでかかってもイイと思うのですが。
冒頭はモノクロの資料映像から始まる。そして映画に入っていく。すると映像は少し黄色がかった映像が全篇で映し出されている。コレが当時の世界観を映し出してるのを大きく影響してて良かった。占領されている街並みの緊張感や生々しさが映し出されている。
撮影カメラにデジタルではなく16ミリで撮影し。監督自ら撮影監督、カメラマンを兼任するほど画作りにこだわった。手持ちカメラで撮影も多く、臨場感というかドキュメンタリー感があって良かった。
この印象は「スポットライト」の時にも同じように感じたモノだったが映像の粗さが歴史を語っていて、さらにブラッシュアップされたような感じに受けた。
主演の2人は素晴らしい。任務に興じることで狂気に囚われているヨゼフを演じたキリアン・マーフィ。任務に希望を見出しながらも人並みの幸せに惹かれてしまうヤンを演じたジェイミー・ドーナン。
他にも俳優陣の演技は皆、素晴らしかった。特にトビー・ジョーンズなんかはお気に入りです。「ミスト」の店長役とか大好き。今回も良かった。
キリアン・マーフィーは演技がじゃなく、見てて痛々しくなるくらいのキャラで凄く良かった。この後、同じ第二次大戦を描いた「ダンケルク」にも出演するので凄く楽しみ。
「ハクソーリッジ」の様な見た目の激しさではなく内面の激しさを描いたのが、この「ハイドリヒを撃て」でした。
ナチスの横暴に、いつかはと思いながら耐える姿。その酷さが増すたびに内なる炎を燃やすのが見ていて感じられる。そして、残虐さが際立ちがちなナチスの狡猾さを描いていたのも良かった。短いシーンながら拷問のシーンは、ナチスの怖さが描かれていたし。拷問された顔とかを見てギョッとなるくらいだ。
ラストの教会の戦闘シーンの迫力や緊張感はそれこそ「ハクソーリッジ」に並ぶくらいだった。
そしてラストの展開は、やはり「ハクソーリッジ」と対になるように違う意味で救いがあったのにも感動しました。
「ダンケルク」の前にこの作品を見るのは如何でしょうか。オススメです。