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ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦のkanaのレビュー・感想・評価

4.3
ヒトラーに次ぐナチス重要人物ハイドリヒの暗殺作戦をイギリス政府とチェコ亡命政府の指令を受けて遂行しようとする2人の男がパラシュートでプラハに降り立つところから映画は始まる。出てくる人物全員がそれぞれの精神性でもって戦争と向き合っていたことが本当に緻密に丁寧に描かれてて、それが美しもむごくもあった。
主人公キリアン・マーフィーは終始作戦を決行するためだけに動いていて怖いくらい冷静なんだけれど、その先にある死を予見した憂げな目、愛してしまったひとを失ったときの表情の変化、感情の爆発がスクリーン一面に映し出されたとき、彼も死への恐怖と怒りを抱えながら生きているのだと当たり前のことに気づかされて、もうどうしようもなくなる。
綺麗事ではなく人間の惨さを描くなかで、それでもここまで人間の感情の機微を追ったものになかなか触れることはない、素晴らしかった。
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