さいらー

ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦のさいらーのレビュー・感想・評価

4.6
邦題からは想像もできないような内容と完成度。B級ではない。
史実を基にしながら、ドキュメンタリーではなくある程度のエンタメ作品として仕上げなければならず、それでいて可能な限り忠実に再現した物語は思わず息を飲む。




で、どんな話かと言うと、ナチスに「国を寄越さないと侵略するよ」と言われ、仕方なく国の実権を渡したチェコが舞台。
主人公達はそんなチェコからイギリスに亡命し、チェコの統治者になったナチスNo.3の男ラインハルト・ハイドリヒを暗殺する為に再びパラシュートで占領下のチェコに潜入した男たち。
しかしこの暗殺任務には作戦も何もなく、潜入方法がパラシュート降下である事以外は何も決まっていない決死作戦。もちろん脱出方法なんてなければ、そもそも殺す方法も決まってない。
……え、どうする??



そんなお話。
ただし導入が少しわかりづらいので、当時の事情に詳しくない人は上に書いた事だけでも頭に入れておくときっと楽しめる。


調べてみれば、そもそも後年この暗殺自体正解だったのか否かの議論の的になっているらしい。
詳しくは調べてみてほしいが、簡単に言うと、ハイドリヒ1人の死はその報復の為5000人以上のチェコ市民の虐殺を招いたのだ。
しかしこの映画はその議論に答えを提示しない。あくまで史実を描く事のみに注力した。


チェコ人にとっては歴史で学ぶ事だが、遠い異国の地では自分で調べない限りそうそう知る機会はない。
この歴史を後世に残す為だけならばドキュメンタリーを作ればいいが、広く知ってもらう為にはエンタメである必要がある。
とても重くて息の詰まる内容だが、本作は間違いなく面白い。


こういった史実を映画を通して楽しみながら知れる、良質な作品である。