ベルサイユ製麺

ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

4.0
1941年。ナチスのナンバー3にしてチェコスロバキアを統治するハイドリヒの暗殺という、命懸けの任務に挑んだ戦士達の記録。実話に基づきます。
何とは無しに顛末は知っていた(という程度だった)のですが、これはヘヴィ過ぎる…。
主人公はチェコの亡命政府から遣わされたヨゼフ(キリアン・マーフィ)とヤン(ジェイミー・ドーナン)。街に潜みハイドリヒの行動パターンを観察し。チャンスが有れば殺る。…そこまでしか計画が有りません。万が一、計画が遂行出来たとして、その後の彼らの運命は?更に、ハイドリヒを殺されたらナチスはどう動く⁇
史実なのでネタバレ云々を気にする事も無いと思うのですが、詳細は書きません。映画を通して理解するのが変え難い経験だと感じたのと、ボロが出たら恥ずかしいので…。
全編通し、タッチが本当に素晴らしい。当時のチェコの街並みも、役者たちの佇まいもタイムスリップした様な臨場感です。オーソドックスながら、突然ギョッとさせるショットを挟む編集も、制作年代が分からなくなる様な撮影も本当に見事。ジワジワ系の劇伴も好みでした。
息を潜め、文字通り動きの少ない前半の溜めから、暗殺シーンの血も凍る様なリアリティ、そしてラスト30分の悲愴と言う他ない銃撃戦。何故、引鉄を引ける?たった一度の誇り高き死の為?
ジェイミー・ドーナン、殆ど印象を持ってませんでしたが、色気もありつつ青くさも薫ります。どんどん人気出そうですね。
キリアン・マーフィ。憂まくってます。辞典には“憂い→キリアン・マーフィ”と書いて有るべきだし、キリアン・マーフィの項には“→憂い”の表記と物憂げな似顔絵が描かれているべきです!次の版からでいいよ。回収まではしなくても。

拷問シーンは本当に眼を背けたくなる惨たらしらですが、正直どこの国でもこのくらいはやる様な気がしました。反面、主人公たちの銃弾にナチの兵達は声も上げず虫けらの様に骸を重ねます。始終英語で話すチェコの主人公たち。字幕も無くドイツ語で話すナチスの将校たち。ナチスの思想は憎むべきだとは思うけれど…。
リスクを承知で暗殺計画を立てた英国とチェコの亡命政府の上層部。目の前で行われる拷問に眉ひとつ動かさないナチの背広組。自失状態でバタバタと倒れゆく兵士達が憎むべきは、果たして眼前の相手国の愛国戦士なのか?
今日的、というかあらゆる時代にリアルに感じられるテーマを含んでいると思います。ストレートにオススメです!
ドクロメーターは、拷問シーンが本当に嫌なので2ドクロです。