カツマ

ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦のカツマのレビュー・感想・評価

3.9
1942年のヨーロッパは暗澹とした闇の中にあった。ナチスドイツはその勢力を増し、恐怖政治は幾多の罪の無い人々の死体の山を築いていた。この映画はそんな闇深いファシズムの時代の中で、捨て身の作戦へと身を投じていった7人の男たちの姿をドラマチックに浮き上がらせた作品だ。
ラスト30分の迫力が凄まじく、瞬きも忘れてしまいそうになるほど、彼らの死闘に見入ってしまっていた。

青空の無い世界。色彩は薄く、原色は影に変わり、真っ白な空は今にも落ちてきそうだ。何て希望の見えない時代なのだろう。これはそんなナチスドイツの恐ろしさに風穴を開けようとした、一筋の毒針のような作戦だった。

〜あらすじ〜

1941年、舞台はナチスドイツに占領されたチェコ。イギリス空軍の協力を得て夜間にパラシュートで降下したヨゼフとヤンは作戦の地プラハへと向かった。二人はナチスの親衛隊幹部ラインハルト・ハイドリヒ暗殺作戦、別名エンスラポイド作戦を遂行するために送り込まれた兵士で、他に5人の仲間がいた。協力者を頼りに残りのメンバーと合流したヨゼフらは、ハイドリヒを抹殺すべく情報収集に入る。そこから得られたのはハイドリヒの警護の甘さを突く車上での暗殺作戦だった。だが、ハイドリヒを殺せば報復は免れないため、作戦の決定には慎重を期す必要があった・・。

この映画は作戦を決行する前半と、決行後の壮絶さを極める後半とに大きく大別される。ちょっとしたラブストーリーも絡められているが、どこか退廃的な雰囲気が渦巻き、そこにはハッピーエンドを見出すことが出来なかった。

主演のキリアン・マーフィ、ジェイミー・ドーナン以外は妙に渋い配役で揃えられており、それが逆にこの映画の重々しさを助長していたと思う。ナチスドイツ時代の映画はドイツ本国よりも占領下にあった国々の作品の方が良作が多いが、この作品もその例の列に加わったのは間違いないと思った。