てるる

ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦のてるるのレビュー・感想・評価

4.0
今シャンテで公開してる「ナチス第三の男」と同じく、ナチスの幹部ラインハルト・ハイドリヒ暗殺計画「エンスラポイド作戦」がテーマ。

この作戦、今までも何度か映画化されてるけど、実際に作品として観るのは初めて。
映画館で観とけば良かったと後悔してます。

ヒトラーの脅しによって、戦わずしてナチスに降ったチェコスロバキア。
ナチス・ドイツの重要な軍需生産国となったチェコにおいて、ヒムラーに次ぐ実力者で、ユダヤ人虐殺を主導したハイドリヒが赴任。
事態を重く見たイギリスとチェコ亡命政府はハイドリヒ暗殺を計画。
7人のエージェントをプラハへ送り込むべく、パラシュートで降下させる。
映画はそこから始まる。

送り込まれたのは7人だけど、作戦の中心となったヤン・クビシュとヨゼフ・ガブチークを軸として物語は展開される。

彼らは作戦のために訓練されてはいるけど、凄腕スパイなんかじゃなくて、作戦に対する葛藤や恐怖に慄く等身大の人間として描かれてる。
恐怖から取り乱すヤンを、ヨゼフが後ろから抱き抱えて落ち着かせるシーンは印象深い(決してBLではない)。
そのシーンが終盤で生きてくるのも凄く良かった。

そんな未熟な彼らだからこそ、作戦が実行に移されたあとの緊迫感が凄まじい。
果たして作戦は成功するのか?

更には現地で彼らを支えたレジスタンスや、彼らを匿った市井の人々にもスポットライトが当てられてる。

ナチスは恐怖政治による統治だけでなく、密告者に賞金を与えて内側から崩すのが得意だった。
当時のチェコでも密告によってレジスタンスが次々と壊滅させられ、果ては無実の人々まで処刑されたという。

そんな状況下でも作戦を支援した人々の勇気には敬意しかない。
特に夫にも知られずにレジスタンスに協力していた主婦の人が忘れられない。

基本的には暗殺計画に関わった人々のドラマがメインだけど、ラストでは急にド派手な銃撃戦が繰り広げられるので、アクションとしても見応えがあったりする。

キャストもキリアン・マーフィーやトビー・ジョーンズなど間違いないメンツ。
キリアン・マーフィーは「麦の穂をゆらす風」も良かったし、「ダンケルク」など歴史ものが良く似合う。

「ナチの野獣暗殺作戦」という副題はハイドリヒがユダヤ人殲滅作戦を主導し、「金髪の野獣」と恐れられてたエピソードから付けたんだろうけどダサすぎんか。
この邦題で損してる気がするけど、史実ものが好きな方にはオススメです。