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ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦のhnのレビュー・感想・評価

4.0
何が正しいのか、誇りとは何か、何もかもがわからなくなる作品だった。

何が一番悲しいかというと、この無謀な作戦がチェコスロバキア亡命政府の意志ではなく、亡命先であるイギリス政府からの圧力から発令された指令であること。
祖国の誇りをかけて最後まで戦い抜いた彼らは確かに力強く美しかった(そんな一言でまとめたくはないが)。
しかし、作中でも言われていた通り、ハイドリヒ一人を殺害したことで同胞への殺戮が止むわけではなく、報復としてさらに多くの人々が殺されることになる。
彼らがそれを想像しえなかったはずはなく、自分が行わなければならない事に大儀を抱いていたかったのだろう。
元をたどった先の悪はもちろんナチス政権であるが。このエンスラポイド作戦にフォーカスして考えた時には誰が正しくて何がベストだったのか、何も分からない。
分からなくてもいい、ただこの実際に起きてしまった悲劇の痛みを映画を通して少しでも感じることができたことに大きな意味があった。

監督さんは写真家の方らしく、どこのシーンを切り取っても美しい画面設計だった。こんなにも救いがなく残酷な出来事を素晴らしく美しい映像で見せられるのは、贅沢で、少し残酷だとも思った。