ナチスドイツ軍の高官の中では、唯一戦争中に死んだラインハルト・ハイドリヒの、その暗殺計画を描いた作品。
何度も書いてる気がするが、私は歴史にからきし弱い。なので、第一次世界大戦中、チェコがこんなことになっていたなんて知らなかった。
冒頭、夜の雪山にパラシュートで降り立つ2人の男。ハイドリヒを倒す計画を実行するため送られた若者たち。最初の数分で、この時代は誰を信じるかで運命が分かれるんだと知らされる。例え同胞でも身を守るために敵に売らねばならない、それが戦争。
潜伏している仲間と、助けてくれる民間人と、カムフラージュのために恋人同士を演じてくれる勇敢な女性たち。きっと、ほんとうにこんな風に、非日常の中の日常を送っていたんだろうなと思った。短い時間ながら人生とか信念が見える、丁寧に描かれていました。
故に、レンカの死辺りからずっと涙目だった。俺のせいだと叫ぶヨゼフに、違うよ、戦争のせいだよと泣きながら思ってた。
自分はのうのうと平和な毎日を送っていながら、簡単に「辛い」なんて感想は口にしちゃいけないと思うけど、でも辛い。大勢のために命を賭してもいいと覚悟を決めた決死の計画なのに、そのせいで村一つが消滅するほど、5000人の命が失われるほど、報復が返ってくるという事実。匿った家族が目を覆うような残忍な扱いを受けるやるせなさ。
信念だけが進むべき道。
そんな風に思いながらなんと多くの命が失われていったか。
教会のシーンは、ここ暫くで一番胸に迫った。
取り乱した仲間を、自分がやってもらったように落ち着かせるシーンに、
もう後がないのに、それでも最後まで戦い抜こうとする姿に、
ひとりまたひとりと命を落としていく様子に、
ただ涙が出た。
二度と戦争はしてはならない、幾度も思ってきたけど、今回も強くそう思う。