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RAW〜少女のめざめ〜のKYのレビュー・感想・評価

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)
4.2
ジュリア・デュクルノー監督作。
フランス映画祭2017で鑑賞。

ベジタリアンの妹ジュスティーヌは姉と同じ獣医大学に入学するも、新入生歓迎の洗礼で、肉をいやいや食べることになり・・・。

・・・

屠殺だったりタイトルだったり大げさな音楽の使い方とかが一見ギャスパー・ノエっぽいけど実は結構違う。衝撃そのものが目的化されておらず少女の二次性徴と姉妹関係を描いた内容だった。

女性監督だけあって女子が大人の女になるための通過儀礼を抽象的な演出で描いたり二次性徴と向き合う痛みをメタファーで可視化させたり、そこにスタイリッシュにルーズな画を多用したり演出面でかなりのバリエーションを用意。

それでいて小難しくならず観客は常に『今度は何を食べるのか』という引きに支配されるので、全シーン緊張感があって全く退屈しない。カニバリズムをモチーフにしたお陰で、こちらも背伸びせずバカになりながらアート演出を堪能できる。

確かに中盤のあれを食べるシーンをピークにそれを越える直接的なエグい描写はないので食人ホラーを期待して見に行くと案外肩透かしを食らうかもしれないけど、お陰であくまでも食人の衝撃が目的ではない作品意図もより伝わった。

何より女子の思春期を描くのにこの発想から切り込んでいこうとした発想がヤバい。一体どんな人なんだろうこの監督は。。

ただ、音楽が何か嫌だった。最初の学内パーティーでかかるThe Døの「Despair, Hangover & Ecstasy」はダサいけど最近の仏バンドの曲だし百歩譲ってローカルソングとして受け入れられる。

でもThe Long BlondesとかBlood Red Shoesみたいな10年前流行ったガールズバンドの音を使うのが映画のセンスそのものに古くささを感じさせられた。端的に言えばダサいと思ってしまった。

色がついたライティングで撮り方もスタイリッシュな10代が主人公のホラー映画はアメリカの流行とも近いけど、スタイリッシュさでアメリカのその手の映画やドラマの方が上回ってる風に感じてしまったのは間違いなく音楽のせいだ。