つのつの

RAW〜少女のめざめ〜のつのつののレビュー・感想・評価

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)
4.5
【王道青春映画(ショック度500)】
最高に面白かった。
今年一番ショッキングな映画体験なのは間違いないと思います。
でも、ショック描写だけを理由に見るのを躊躇するのはあまりにも持ったいない作品です。
何故なら本作は、「成長」という普遍的な人間の営みを描くことに対して非常に誠実な作品だったからです。

ある程度の束縛からは解放されるけれどもまだ何者にもなりきれない時期を持て余す青春時代において、自分の中の全く知らない側面を見つけてしまった時の衝撃と興奮は誰しもが共感できるものでしょう。
ただ、ここの描写の容赦のなさがハンパないのは事実です。
我々が生き物の生態に対して感じてしまう生理的な気持ち悪さと美しさを叩き付けてくるシーンが満載でした。ここは少しデヴィッドクローネンバーグの映画に近い感じがする。
直接的なグロはあまりないものの、とにかくキモい笑
ただそのバリエーションがあまりにも多いので見ていて全く退屈しませんでした。
所謂アーティスティックな作風なのも事実ですが、次から次へと異常な事態が起こりまくるので先が読めず大変面白かったです!
しかもそれらの描写には「恐怖と笑いは紙一重」という精神が一貫して流れているのも素晴らしい。

本作の面白い点はそういう強烈なシーンだけではなく、映像の色彩感覚にもあると思います。
新人監督とは思えないほど圧倒的な画面の構築力でした。

ネタバレになるので詳しく言えませんが、ストーリーの細かい展開にも創意工夫がたくさん凝らされています。
どんでん返しもたくさんあってエンターテイメント映画としても最高でした。

一言で纏めるのならば
フレッシュかつショッキングな描写てんこ盛りな大怪作にして
王道青春映画の新たな傑作といったところでしょうか。
今年ベスト候補です!!
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