Zawa

RAW〜少女のめざめ〜のZawaのレビュー・感想・評価

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)
4.1
008/8.2

ウブそうなお嬢さんが大学寮の洗礼を受けるという流れがすぐに始まるので、イニシエーションものだな、という視点で見始める。

ベジタリアンだったのに、生肉を強制的に食べされられたことをきっかけに肉食に目覚め……という展開も、性的なメタファーだろうな、と思って見ていくのだが、性体験は性体験で並行して描かれるので、「ん?」となる。

ショッキングな描写が始まり、ここからジャンルものとして加速していくんだな、と予想すると、リアリティラインは一定に保たれたまま破綻しないので、ここでも「あれ?」となる。

このように、紋切り型の解釈を巧みにすり抜け、痛々しくも美しい映像と主人公による体験の強烈さがズシズシ響いてくる。

結果、イニシエーションものではあるし、肉食もある種のメタファーであることに変わりないのだが、頭でっかちな作り手では紡ぎ得ない複雑で体感的な物語になっていた。
女性監督だから、という片付け方は乱暴な気がする。ストーリーテリングにしても演出力にしても並外れたものを感じた。次回作があれば絶対見たいと思う。

後半になって重要性がグッと増す家族の描き方や、音楽、キャスティングも良かった。

万人には勧められないが、刺激強めな映画体験を求めている人にはおすすめ。
Zawa

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