わたがし

RAW〜少女のめざめ〜のわたがしのレビュー・感想・評価

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)
5.0
 少女が覚醒する瞬間はいつだって美しいよね。それより美しい現象なんてこの世にないと思う。少女の目覚めってたぶん、自分の身体が新たな生命を宿すことのできる存在だと理解した瞬間だと思う。自分って何て神秘的な生命体なんだ、という戸惑いと恍惚と少しの嫌悪感。
 まず覚醒までの前置きが常に絶頂寸前のようなエロい緊張感があってヒリヒリするぐらい最高で、そこからの少女が肉を食べる瞬間、本当に本当に、こういう瞬間を追体験できるからこそ映画は最高なんだよと思わずにはいられない。映画が映画でなくなる瞬間というのはこういうことで、あれは本当に映画なんかじゃない、確かな現実だった。そして女はスクリーンをべろんべろんに舐めまわす。こういう快感だけを求めて自分は映画を観ている。
 内容とかテーマに関しては、倫理とかクソだよね、みんなそれぞれの美学があって美意識があって生き様があるじゃん、それを抑圧する社会って美しくなくね??みたいなテーマを感じた。究極の愛とかどうとかそういう捉え方もできなくもないけど、それよりも社会の圧とか世間の目とか差別意識から解放されてえよ!!みたいな衝動のほうが強く感じた。
 でも、最後の最後で示されるメッセージが「そこまで人間の動物的衝動描いといて最後そんなこと言う??」みたいな感じで、でも確かにそう言われるとこれめっちゃ理性的な映画じゃん、衝動の欠片もないじゃん、みたいな、考えがまとまらなさすぎてすごい頭の悪い人が書いた文章みたいになったけど、すごく好きな映画でした。腋毛にエロさを感じました。
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