matsuitter

RAW〜少女のめざめ〜のmatsuitterのレビュー・感想・評価

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)
3.0
怖いというより美しい映画。そこそこ好きです。

以下ネタバレ。

主題は肉欲と理性のせめぎ合い。副題のとおり、性と肉を象徴的に掛けて、気持ちの迷いを鮮烈に描写した。

良かったところ。

映像と音楽の使い方は圧倒的に美しい。内容はスリラーだがジャンプスケア的な恐怖演出は一切なく、綺麗にキモさを際立たさせる映像美の世界が素晴らしかった。

主演女優が綺麗で、ダンスパーティをはじめ映像全般が美しく、カット割り、色使い、ライティングなど見惚れてしまう。はじめのパーティシーンのワンカット撮影も非常に美しい。そしてホルマリン漬けを写したり血をぶっかけたりとセンセーショナルな映像が雰囲気を盛り立てていく。

一番好きなシーンは指のシーン。衝撃的な音楽挿入が印象的。それを見つめ咥えるとき、BGMが精神の暴走と同期している。ここだけは100点。

印象的なシーンは非常に多い。青いドレスで鏡の前で踊るところの妖艶さや黄色と青のペンキを塗りたくるパーティ、死体安置所のシーンから喧嘩にいたるくだり、最後に死んでいる彼に気がつき、背中に気がつき、口が血まみれの姉に気がつくというカメラワークなど、全てが鮮烈にカッコイイ。

さすがフランス映画。アメリカじゃあこんなアーティスティックにしないでしょと思った。

苦手な点。

ホラーとして考えるとインパクトに欠ける。一体何がやりたかったのだろうか。。

少女の目覚めって副題があるとおり性的な肉欲だと思うけど私は青春が苦手なので葛藤みたいなところがピンとこず。映像が超綺麗なのに脚本がなんかグダグダに感じた。
matsuitter

matsuitter