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RAW〜少女のめざめ〜のkouのレビュー・感想・評価

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)
4.5
《美しく残酷》
凄い設定でありながら、それは決して奇抜なだけでなく他の人にも共感させられる変化、成長、そして愛についての映画になっているのが素晴らしい。ショッキングであり、美しく、青春を切り取った映画としても観ることができる。本作の監督ジュリア・デュクルノーは今作が長編デビュー作だというのだから驚きだ。

僕自身も予告編も前情報もなく見に行ったのだが、ぜひ未見の方はそうするのがいいと思う。とてもショッキングだが映像の鮮烈さ、そしてアーティスティックな映像美が視覚的にガンガン入ってくる感じ。

詳しいところはネタバレになるので書かないが、今作では主人公ジュスティーヌにある変化が訪れる。それまで両親の元で保護されてきた少女が、社会に出ることで訪れる変化だ。彼女は今までにない経験をし、それが故にある変化が訪れる。それは成長でありながら、彼女自身の大きな葛藤を生む変化でもあるのだ。

今作は「愛」についての映画だ。それはジュスティーヌの行動を見ていても、愛ゆえにある行動を起こしてしまう事からもわかる。それは決して今作の特殊な所で終わらず、普遍性を持つ物語でもある。それはラストの衝撃にもつながっているのだ。映像の新しさ、鮮烈さ、どこを見てもグロテスクでありながら美しいというのは今作の素晴らしいところ。映画全体の持つ普遍性を含め、本当に素晴らしい映画だった。
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