vizilake

RAW〜少女のめざめ〜のvizilakeのレビュー・感想・評価

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)
5.0
“新しいカルト映画が生まれる瞬間をリアルタイムで体感する”ことを目的として、今年に入ってから毎週映画館に通っている。。
今日はその瞬間に立ち会えた。。
フランス出身の女流監督 ジュリア・デュクルノーの初の長編作品。。
厳粛な家庭で育ったベジタリアンの少女(16歳)。。
“神童”と呼ばれる程の知能を持ち、飛び級で姉が通う大学の獣医学部に入学する。。
大学は全寮制で、新入生は通過儀礼として上級生にいびられることが恒例となっていた。。
少女は通過儀礼に戸惑いながらも新しい世界に少なからず喜びも感じていたが、その一環として兎の生の腎臓を食べさせられたことで彼女の身体は異変を起こす。。
彼女は初めての生き物の味に取り憑かれ欲望はエスカレートし、人の肉を求めるようになった。。
彼女の心境の変化を表すように映像の色彩が変わっていく。。
冒頭では秋の乾いた空気を感じる青、寮での生活が始まると不安と希望に満ちた黄色、肉の味を覚えると淡い赤になり、最終的には真紅の血に染まる。。
この映画のキーになるのは主人公の母親の少女が処女であること。
少女は初めて親元を離れ、何もかもが新鮮で恐怖に感じていたのだろう。。。
恋愛すらしてこなかった少女が、突如同級生の男(同性愛者)と相部屋になる。。
そこで彼女が初めて観たSEXは男同士のフェ◯チオ。。
恋愛は様々ではあるが、SEX自体を知らない少女からすればもう何がなんやら分からない状態だったに違いない。。
そんな中、男の体も知らないうちに人肉の味に魅了された少女は、食人もある種の性癖だと考えたのだろう。。
“男の味”のダブルミーニングだ。。
映像はスタイリッシュでスローモーションを上手く使い、観客を魅了する。。
カニバリズムなので残酷描写も勿論あるがそれは直接的には描いていない。。
痛々しさはあるが、僕は終始爆笑。。
この映画は主人公の性の目覚め、少女からの脱皮をメインの題材として描いているため残酷描写はオマケ。。
だから充分笑えるシーンになっている(一部の人には)。。
ネタバレを防ぐためにこれ以上のことは抽象的に書きますが、、
映画は終盤にかけて思いもよらぬ展開を魅せる。。
ラストシーンを観れば、この作品が歴としたホラー映画であることと同時に家族の愛が背景にあったことを認識する。。
ただのグロテスクなB級作品ではない。。
非の打ち所がない超A級のカルト作品なのだ。。
2018年、、映画の可能性は広がり続けている。。
vizilake

vizilake