とまこ

RAW〜少女のめざめ〜のとまこのレビュー・感想・評価

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)
3.8
あらすじを読んで、面白そうだなと思いホラー作品とは知らずに見ました。かなりショッキングな内容でした。

以下、たぶんネタバレしてます。
厳格なベジタリアンの家庭で育った主人公は姉と同じ獣医科学校に入学する。初めて親元を離れての大学生活の中、上級生から強烈な儀式を受ける。うさぎの生の肝臓を食べさせられるのである。その日を境に、身体には異変が起き、精神的にも不安定になる。そして次第に肉を渇望するようになる。

この手の作品もフランス映画も、あまり見たことがないのですが、上級生が新入生をしごくような、すこし旧時代的なイメージがある伝統が残っているかと思えば、ゲイもレズビアン も隠すことなく、堂々とさらけ出している。性に関しては異常と思えるほど開放的なところは、奇妙な違和感を感じる。たぶん自分がフランスの伝統や現在の文化に疎いためだと思いますが、、、。

さて、自分がトラウマ級にショックを受けたのが、誤って姉の指をハサミで切り落としてしまい、姉は失神。主人公は慌てて指を拾い救急車を呼ぶのですが、救急車を待つ間、衝動を抑えきれずに、指から滴り落ちる血を舐めてしまう。そして、とうとう指に噛り付き食べてしまう。このシーンだけは正視できず、目を背けてしまった。

カニバリズムに目覚めてしまった主人公が自分の本性を否定し、逆らい抗いながら苦悩する姿と、その本性をすでに受け入れている姉との軋轢や葛藤や愛と言った複雑な関係性が、時として強烈な表現で描かれていて、単純にホラーと言うジャンルには括りきれない作品だと感じます。

ラストのオチは賛否あると思います。
自分も最初は、どうしてもオチを付けたいことが先行して、取ってつけたようなオチという印象がありましたが、物語の冒頭、父親が主人公を大学に送って行く件で、父親の態度が妙に冷たく違和感を感じたところや、道中に立ち寄ったレストランでの食事で、食べていたマッシュポテトの中にミートボールが入っていた事に、異常なほど猛抗議する母親など、後になって腑に落ちるところもあり、最終的には納得してます。

自分は二度とこの映画を見ないと思います。が、人生における、成長や変化、複雑な人間関係を巧く描き出せている作品だと思います。ホラーは苦手ですが、そんなドラマはもっとたくさん見たいと思うのです。