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RAW〜少女のめざめ〜のNEWおっさんのレビュー・感想・評価

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)
3.5
「初めて覚えた人の味」

海外で失神者続出みたいなキャッチコピーで話題になり、自分もそんなにヤバいのかと思い興味を持って視聴。フランスの映画を見るのは久々。監督はこれがデビューとなるジュリア・デュクルノー。

粗はあれどエネルギー溢れるデビュー作に今ままでも何人か当たって来たが、今作も凄い。まさかデビュー作でカニバリズムをテーマとする映画を作るとは、監督は女性ながらも間違いなく変態であるな。

主人公のジェスティーヌは最初から人肉大好きだったワケではなく、むしろベジタリアン。ある事件をきっかけに肉を食べ、今まで肉を食べなかった開放感の如く人肉にも手を付けてしまう。その過程がしつこ過ぎずあっさり過ぎずで丁度良い。

確かにグロいんだけど、失神者続出は誇大広告なんじゃないかとも思った。見る前は人肉食べるシーンはどんだけグロいのかと身構えてたけど、そうでもなかった。むしろジェスティーヌがアレルギーになって全身搔きむしりまくるシーンのがよっぽどキツかったよ。自分もアレルギー持ちなんで人ごとじゃないと思ったし。

先輩には絶対服従な昔ながらのどこぞの野球部みたいな学校のシステムや、不快な教師とか見てて胸糞要素も満載。あと主人公もヤバいが姉貴もぶっ飛んでてヤバい。そのヤバさが爆発するラスト前は衝撃だったわ。まあその後、本当のラストに更にヤバい事実が発覚して物語は幕を閉じるんだが。あんまネタバレになるので詳しく言えないが、一周回って逆に笑ってしまったわ。笑ったと言えばバイオレンス過ぎる姉妹のキャットファイトも笑った。

映像の撮り方もフィルムノワール的で美しかったし、良い掘り出し物だったな。全体的に感情がリセットされ過ぎて話がぶつ切りな感じがしたのが惜しい。喧嘩してると思ったら次の場面では仲良かったりするとかいうのが何度かあったよ。あ、あと女の立ちションが見れるのはこの映画だけじゃないか。性癖が歪んでる人には最高の一本かも。

—————ここからネタバレ—————





















一家の女全員人肉食いでしたはサプライズだったが、親父の胸の傷見せるラストはちょい笑ってしまったよ。よく親父生きてたな。

克服した母、さらけ出した姉。残るジェスティーヌは今後どうなるのかという暗示を込めたラストは良かった。