せびたん

RAW〜少女のめざめ〜のせびたんのレビュー・感想・評価

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)
3.0
よくも悪くも今風の映画ではないかと。20年後くらいに10年代っぽいとか言われてそう。

何より比喩?象徴?の使い方が下手すぎてかわいい。「初めての比喩」みたいな感じ。一生懸命であれば許されたあの頃(いつだよ?)を懐かしく思い出せる初々しさでした。いや皮肉とかじゃなくて。わりとマジにそう思いました。

物語の流れとか構造はアニメとかマンガとかと親和性が高かったような。
ギャグマンガをリアルな描写でやるとこんなふうになるんだろうなというシーンが散見されたような。
けどそういうのってやってみなくてもだいたい想像つくから今まで誰もやらなかったんじゃないかと思うのですが、本作含めて最近はたまにトライしてる映画を見ますね。

うまいなと思ったのは片田舎にキャンパスがある獣医学校という閉ざされた世界が、新入生への過激な歓迎セレモニーによって近代的(現代的?)世界観が表面的に失われる中、ある少女の退行という形で人肉食が現れるところでした。退行っぷりをうまく映像化してました。もっともこれはグリーナウェイの「ZOO」の劣化コピーだった気が。そしてあっちの退行っぷりのほうがはるかにスケールでかくておしゃれだったです。

まあでも退行して犬と肉を争いあうというのはすごいです。

西洋社会が築き上げてきた人間性?人間らしさ?みたいなフィクションに対する挑戦なんすかね。ていうかそこは別に挑戦しなくてもいいんじゃないかな。そのフィクションはとても大事って気がしますし。
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