倫理観がふっ飛ばされる映画。最初はとにかく獣医学校の不快感に飲まれてしまうけど、2回観るとその伏線の多さに気付かされる。
ジュスティーヌの可愛さに騙されそうになるんだけど、とにかくすべて気持ち悪い。観てる方も吐き気がしてくる。でも一方で、人間が決めた倫理って何なんだろうと思う。
肉の美味しさや、食べたときのエネルギーと闘争心がみなぎる感覚って獣性の目覚めなのかも。人間も動物という点では共食いによって生きる存在なのだと実感してしまう。
カニバリズム(人間が人間の肉を食べる)や獣姦といった、人が踏み入れない先のものについて思いを巡らせる。人間が本能から興味を抱かずにはいられないテーマだと思う。
なぜジュスティーヌ達はベジタリアンとして育ったのか。
これも実はこの映画の大きなキーとなっている。両親は、この学校で娘達が経験する儀式を知らない。
パパ-!からの、ラストながら幕開けを感じさせる荘厳なパイプオルガン的メロディとエンドロールへの流れも良かった。
公開当時は「『ネオンデーモン』に続く本作」というような紹介のされ方をしていたらしく、確かに観ている時に思い起こさせるものがあったんだけど、個人的には『RAW』の方が段違いで面白い。監督のジュリア・デュクルノーが35歳と若いのに驚きました。
先輩から青いペンキをかけられたジュスティーヌが、黄色いペンキの人と部屋に閉じ込められて「緑になるまで戻ってくるな」と言われてるシーンはアート色濃すぎて笑ってしまった。