和桜

RAW〜少女のめざめ〜の和桜のレビュー・感想・評価

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)
4.1
この手のテーマや映像は設定の奇抜さだけで乗り切ろうとする作品が多くて飽きてくるんだけど、この作品には最後まで惹かれてしまった。
相反する存在同士の共生を謳って、男女のロマンチックな交わりで乗り越えようとする話は多かったけど、今作はその部分が生々しすぎて希望は僅かしかない。家族の絆的なもう一つの突破口へもシビアな考えで、これまでの作品たちへのアンチテーゼのよう。しかしこの姉妹の関係は、個人的にはそれらの関係よりも何故か愛を感じてしまう。

ベジタリアンとカニバリズム、性欲と食欲、人間と動物、親と子。思春期の葛藤や抑圧とその反動を描くにあたって、もう見飽きたような設定ばかりなのに目が離せない。各々の家族がお互いの姿を目撃する度に観客の認識がズレていく展開。抗いきれない欲求やグロテスクな映像の中にも確かな感情が流れていた。
和桜

和桜