るるびっち

女性たち/女たちのるるびっちのレビュー・感想・評価

女性たち/女たち(1939年製作の映画)
4.0
人間の顔というのは不思議なものだ。
ノーマ・シアラーの上品で遠くを見詰めるような瞳。
ジョーン・クロフォードの抜け目ないしたたかそうな顔。
ロザリンド・ラッセルの退屈しのぎを探している落ち着きのない目。
ジョーン・フォンティンの無垢な印象。
ポーレット・ゴダードの勝ち気で溌溂とした若さ。
特にポーレット・ゴダードはチャップリン映画以外で見るのが新鮮だ、バーバラ・スタンウィックを若くキュートにした感じ。
キャスティングでその人の性格・役割が解るのが凄い。
メロドラマ風コメディなのに男性が一切でないという実験的・前衛的作品。
大衆性と前衛を兼ね備える、この時代のハリウッド作品の幅の広さよ。

女性の噂好きと、その噂で振り回される様を面白く描いている。
ノーマ・シアラーを噂で苦しめたロザリンド・ラッセルに、同じく噂で仕返しをするのが痛快である。まったく姿を現さない男たちが、社会的に容認されている側面を感じるが、そこはこの時代の映画なので致し方ない。昔の男たちは社会的に擁護されてお気楽なものだ。

ロマンチックとエスプリを効かせた軽妙洒脱なエルンスト・ルビッチの話術を後進のビリー・ワイルダー、ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ、オットー・プレミンジャーの三人は引き継がず、真逆なリアリズムと暴露趣味、実証趣味に走っているが、案外とルビッチの精神をこの時代に引き継ぎ、女性目線という新味を加えていたのはジョージ・キューカーなのかも知れない。
るるびっち

るるびっち