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浮雲のnkのレビュー・感想・評価

浮雲(1955年製作の映画)
4.7
iPhoneメモのレビュー

3/9(Sat)
浮雲

戦後の荒廃の中で再会する二人は、ただ愛欲のままに流されていく。
インドシナから東京、果ては屋久島。
逃避行にも似た、二人の末路。

二人は一緒に死にたかったのではないか。
二人では生きてはいけない。でもせめて、二人で死ねないだろうか。

二人がもつ棘は、やがてナイフのようにお互いを突き刺していく。
富岡の持つ刃は毒のように、一緒になった女性を殺していく。
富岡の毒は、静子を殺し、妻を殺し、最後はゆき子を殺した。そして、富岡は自分がそうした毒を持っていることに、気づいていたのかもしれない。

そしてその毒の存在に気付きながらも最期まで富岡といることを望んだゆき子の姿に心打たれる。
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