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ジーザス・クライスト=スーパースターのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

4.3
今からおよそ2000年前、ローマ帝国領のパレスチナに一人の青年が現れた。
大工の息子ジーザスは、人々に新しい教えをとき、数々の奇跡を起こしているという。 圧政に苦しんでいた民衆たちは、たちまちジーザスの言葉に耳を傾けるようになり、彼こそ「救い主」「神の子」と讃える。
弟子の一人、イスカリオテのユダにとってジーザスは「神の子」ではなかった。
ジーザスを愛するユダには「全て御心のまま」という師の真意が理解できない。
マグダラのマリアもまたジーザスを愛していた。彼女は、かげりの無い、純粋で献身的な愛をジーザスに注ぐ。
ジーザスが「ただの人」だと露見したとき、人々はそれを許すはずが無い。 彼らの怒りによってジーザスは押しつぶされてしまうだろう。 そう予感していたユダは、師ジーザスを裏切る決心をする。
アンドリュー・ロイド・ウェバーとティム・ライスによる傑作ロックオペラを映像化した映画版。
キリストと信者やユダの関係をカリスマスーパースターと熱狂的なファンの関係になぞらえているところ、キリストを自分が目指している志と信者が期待するユダヤの王の間で苦悩する等身大の人間としての面を描き、キリスト教徒の間では賛否両論だけど、後々キリストの生涯を映像化した作品に多大な影響を与えた傑作ミュージカル映画。
何故ローマに反感を持たれることが分かっていてユダヤの人をキリストが救い続けたのか理解出来ないでキリストを見捨ててしまうユダやユダヤの王としてユダヤの人を救う人とキリストを思い込む信者とあえて「すべては御心のままに」と説明しないキリストのすれ違いとキリストの真意が何なのか知りたいという思いは、キリストと信者や観客の関係と重なって見える。
だからこそキリストについての映画が多数制作されているので、この映画も一つの解釈。ただ自分の使命や定めを科した神様の御心をキリストでさえ時に計り難く、戸惑い悩みながら自らの使命や定めに殉じるキリストの姿は、人間臭いけど崇高なものがある。
クライマックスで流れる「ジーザス・クライスト、あなたは何者だ?」という歌の答えを探して、何度も見たくなるミュージカル映画。
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