アラバン

1944 独ソ・エストニア戦線のアラバンのレビュー・感想・評価

1944 独ソ・エストニア戦線(2015年製作の映画)
3.6

ドイツとソ連に分断されたエストニアの悲劇。
国を分断されるだけでも悲劇なのに、相手がヒトラーとスターリンとは。。

ソ連統治下のエストニアに、ドイツが不可侵条約を破って侵攻してきたため、占領された地域のエストニア人はドイツ兵としての戦いを強いられます。

忠誠心を高めるためか、なんとヒトラーのサイン入りプロマイド🤮まで配布されます。
要らねーよケツでも拭いたろか💩!と極めて健全な反応を見せるエストニア兵たち。


ドイツ側とソ連側の双方のエストニア人の視点で描かれますが、ソ連やドイツへの忠誠心などこれっぽっちもありません。
自国を蹂躙し、偉そうな顔で同胞を殺すことを要求してくる連中の為に戦い、戦場で死んでいくエストニア人の無念さたるや想像を絶するものがあります。

そんな戦いに、ドイツもソ連もエストニア人を可能な限り大量に徴兵した模様。

そして、互いに殺し合う悲惨な戦闘がもたらした、この状況でしか起こり得ない静かな人間ドラマが紡がれて、大国の思惑によって引き裂かれた小国の悲劇が浮き彫りになります。



ドイツの降伏により、エストニアは再びソ連統治下に戻りましたが、この時にドイツに協力して戦った人たちは、戦後ソ連の秘密警察に追われるというさらなる悲惨な目に遭っているようで、まったく救いがありません。


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