よしまる

ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来たのよしまるのレビュー・感想・評価

3.8
 コペンハーゲンにある世界一のレストラン「noma」。シェフとスタッフの奮闘を描いた前作に続き、期間限定で東京に店を構えたときの様子をおさめたドキュメンタリー映画の第2作目だ。ちな本店を休業してまで凱旋したマンダリンオリエンタル東京では23日間の営業中2000席に6万人が予約待ちしたとのこと。
1人最低でも5万として軽く1億円超かぁ、、そんな下世話な計算するなってw

 本編の半分くらいが、日本という異国の地に来て、今までに出会ったことのない食材探しの旅に費やされる。料理長レネの異常とも言えるほどのこだわり、斬新な発想、本質を捉えんとする姿勢には感服する。
 と、同時に、世界広しと言えども日本がいかに豊富な食材を有し、また地域の人々の努力により支えられているかってのをデンマーク人の眼を通して思い知らされるきっかけとなったのが面白かった。
 それだけでも前作よりはるかに見応えのある作品となっている。

 実際の食材の使い方は、おおっ!となるものもあればゲゲ!となるものもあったりで、こればかりは食べてみないとわからないのだけれど、見た目の美しさは当然としても、普通の和食よりとても美味しいとは思えないのもあった。いや、食べもせずに言うたらあかんあかん、貧乏人のひがみみたいになってしまうw

 現地でも東京でもだいたい一人5万円程度のコースで、食べログなどを検索すると今もそのときの食レポを読むことができる。ご興味ある方はぜひ観賞後に検索されると面白いかもw

 さて、味の話をしていてもしょうがないので、この映画の面白かったところ。
 やはりレネという稀代の若きシェフの意固地なまでのこだわりっぷりを、周りのスタッフへの丁寧なインタビューにより浮かび上がらせているのが胸に迫る。
 ラスト、結局成功したんだかしてないんだか、美味かったんだか不味かったんだか、わからんじまいなのがやや物足りない。結果じゃなくて過程を楽しめたからいいのだけれど、終始「結果がすべて」的なアプローチであっただけに落とし前つけてくれたらもっと良かったのにと、これは素直な感想。

 それにしてもレネの生き様は日々悩みながら過ごす自分にも突き刺さるものだった。最後に印象的な彼自身の言葉を引用させていただく。

「"本を読み、研究し、人と話し、解決策を導き出す"
そこで新たなことが起き、自分自身や世界を知るという過程が好きなのです。
常に進化しなければいけません。
居心地のいい場所はあえて捨て去ります、
もがき続けていくことで時計の針を動かし脳みそを働かせます。」

 結果にこだわるからこそ、過程を重んじる、そういうことなんだね。