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シュガー・ラッシュ:オンラインのtouchのレビュー・感想・評価

4.3
"本物のプリンセスよ!"
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「あなたは何にでもなれるし、どんな夢を見てもいい。そして誰もその夢を邪魔することはできない」というまばゆい希望を示す傑作。
大御所ディズニーだからできた自由度の高いオープンワールド描写は、言うなればディズニー版グラセフ:オンライン(全年齢対象)
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インターネットの利用者数は全世界で40億人を超え、地球上の2人に1人はインターネットを利用している計算になるという。
そんな私たちの生活にもはや無くてはならない存在となっているインターネットの世界を天下のディズニーが描き出す意欲作です。
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ポップアップ広告やネット決済といったwebサービスの複雑な仕組みをかみ砕いて説明し、無理なくストーリーに組み込んでいく構成力にまず舌を巻く。
EC、オンラインゲーム、バズマーケティング、ネットミーム…
驚異的な観察眼で丁寧に拾い集められたインターネットあるあるネタがリアリティを高めている。
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特筆すべきはディズニーワールドでの身内ネタのオンパレードだろう。
ディズニープリンセスのミュージカル癖やスタジオを超えた共演のイジり等
ブラックユーモアの効いたハイコンテクストなメタネタは散漫に映るが、これが終盤にキチンと機能してくるのが見事。
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人生の新しいステージに踏み出していく女の子と過去にしがみつき足を引っ張るダメダメなおじさんという対照的な構図は、図らずしも『アリー/スター誕生』と通底する形に。
各々の着地の違いもまた味わい深い。
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高かったはずの"ゲーム間の壁"が「ゲームにコードを追加してもらったわ、だから大丈夫」と一言でさらりと流されてしまうご都合主義は疑問だが、元ゲームに帰るであろう予定調和の"シナリオの壁"を破壊する
自分らしさを追求するニュー・ヒロイン像はとても力強く映る。
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読書会に参加することで理性を持って自己課題を乗り越えようとするクロージングは道徳的で爽やか。
ディズニーの胆力をまざまざと見せつけられた2時間でした。
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