ミア

シュガー・ラッシュ:オンラインのミアのレビュー・感想・評価

3.7
テーマにこだわりすぎて前作の良かった部分を全部ぶち壊していた。

前作は最新ゲームのキャラと触れ合った結果、古いアーケードゲームでも腐らずやってればいいことあるよ、という話だったが、
今作では完全にラルフ=変わらないものへの固執/ヴァネロペ=革新の希求という二項対立が与えられた結果、2人の関係性も「え、何があったら前作から今回みたいなことになっちゃうの?」という違和感満載なものに。
前作を踏まえれば、むしろラルフは新しいものにそんなに抵抗を感じないタイプなのではないだろうか。
別に性格はある程度変わってもいいのだが、脚本に説得力がないので納得いかなさを感じた。

また、古いもの/新しいものという構図にそれぞれ田舎/都市、男性/女性という二項対立も入ってきて、ある一定方向のメッセージをディズニーが伝えようとしていることを感じる。
そのメッセージは共感できるし間違ってないのだが、ラルフとヴァネロペの物語でやるべきだったのだろうかと疑問に思う。
新しくそのメッセージを伝えるためのキャラクターと物語を創作してもよかったのではないだろうか。
インターネットを新しいものとして礼賛する態度こそ今となっては古臭くすら感じるが。

最近のディズニー作品はあまりにもポリティカルにコレクトネスであろうとするあまり、描写が極端になっているきらいがあるので(ズートピアの都市礼賛やアナ雪の異性愛無効化など)、あまり好感が持てない。
目先のブランドイメージ向上に囚われず、ピクサーのようにもっと本質的で根源的なテーマを扱ってほしい。

それに関連すると、今回のプリンセス全否定的なセルフパロディはやりすぎだと思う。
はっきり言っておくと、ディズニーはこれまで一度もプリンセスを「強い男性に守ってもらわないと何もできない女性」だとは描いていないはずである。
自社のアニメーションの歴史を、現在のブランドイメージ向上の手段として利用するのはいい加減やめてほしい。
ミア

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