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エタニティ 永遠の花たちへのmemoのレビュー・感想・評価

3.9
いろとりどりの草花であふれる庭と邸宅とある家族。柔らかな光に包まれた色彩。小さな舟に乗っているショット(印象派の絵画を思わせた)や、親子/恋人/夫婦が花のように重なり合うショットが印象的だった。クラシックと語りと共に、映像美が続く。

物語は19世紀末フランスの上流階級のある家族について。結婚、出産、恋、愛、死。悲しい出来事も、幸福な出来事も、すべての日々が同じトーンで淡々と静かに紡がれていく。流れる時間が果てしない永遠のように感じる。家系図を紐解くのを見ているような、不思議な映画。

母親が息子たちの死を「この子たちは恋を知らずに死んだのだ」と悲しんだり、恋愛、結婚、出産に重きを置く価値観が今の気分とは合わないかもと思いながら見た(あとずっと同じペースなので退屈ではあった)が、時代が19世紀末だということと、家系図を紐解くような作り、「こうして現代を生きるわたしたちにも命が繋がってきたのだ」というラストへの結びが結果的にはよかった。風がふわっと肌を撫でるみたいに本当に軽やかに現代へと繋がっていって、そのときの爽やかさは絶妙。
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