LATESHOW

エタニティ 永遠の花たちへのLATESHOWのレビュー・感想・評価

4.1
ルノワールの絵画に命を吹き込んだような、 美しい映像。
どれだけ審美眼が高いのかと感嘆してしまう光と色彩の混じり方に、洗練された完璧な構図に、そして人々の柔らかな肌の質感に、思わず溜め息が出る。
オドレィ・トトゥはまるで白いバラのよう。彼女達が花と緑に包まれた庭で子供達に、愛する人達に何度も送るキス、その清らかな温もり。
永遠の庭で、彼女達は何世代にも渡り、キスを交わす。
別れのキスも親愛のキスも
永続の中で受け継がれていく。
短命の一族が、生きた証を残すべく、そっと互いの柔らかな頬に交わすキス。
短命だが彼女たちは懸命である。
誕生と喪失に流す涙、交わすキスが受け継がれ、現代へと繋がるラスト、
夕暮れの庭で子供達がオバケの仮装をして庭を駆け回る場面、
夏の日にオドレィと家族たちが水のかけあいではしゃぐ場面。
永続の中での一瞬の美しい記憶の連続に涙が溢れた。
どんな運命をたどろうと生きる美しさを肯定しきっているからだ。
そして一瞬に過ぎない美しさだから
人は絵筆をとり、あるいはカメラを向け、何もなければ頬にキスを交わして生きていくのだよと
トラン・アン・ユン監督に教えられたかのよう。
私たちがいま現在生きるまでに紡がれてきた幾多の、一瞬の物語。
LATESHOW

LATESHOW