ryodan

シークレット・オブ・モンスターのryodanのレビュー・感想・評価

5.0
2016-12-23

ブラディ・コーベット監督長編処女作。
原題は「THE CHILDHOOD OF A LEADER」。
こっちの方が分かりやすいです。第一次世界大戦の戦後処理が行われている、フランスの片田舎で、美しい少年は怪物になるべく、三つの癇癪を起す。オペラの構成の様に、第一幕、第二幕、第三幕、第四幕とドラマを構成しており、黒を基調とする画作りで、終始不気味な、不安定さが続く物語になっている。父は政府高官、母は四ヶ国語を操る現代女性。その遺伝子を受け継いだ少年、独立心が強く、学問の重要性にいち早く自覚し、才能の片鱗を垣間見せる。この子の演技は、非常に難しかったと思います。どこまで役柄を理解したかは不明ですが、終盤まで物語を牽引する大役ですから、大変だったはず。日本の子役には、まず無理でしょうね。そして不気味なまでの音楽。観客を戦慄と興奮に導く、これまた不気味さを醸し出してました。少年の奇怪な行動は、正直そんなに特別視しなくとも、個人的には理解出来てしまうんですよね。困惑する両親の態度の方が問題ありという気がしてなりません。全く愛情が見えてこない。だからこの子は両親を心の中で見限った。規範となる大人がいない中で、内にこもり、当てつけの様に問題を起こす。最後は両親との破局を向かえる。年代的に、独裁者のモデルはスターリンだろうと推測できます。
独裁者の幼少期が、直接的に結びつくわけではありませんが、アサドやプーチンなどが重なったのは、偶然ではないはず。小者のアベは論外。どんな人生を歩めば、独裁者になるのかは不確定要素が多すぎて、単純にはいきませんが、一つ彼の最大の欠点を言えば、「人の痛み」が分からずに育ってしまったということだと思います。これが独裁者となるべく、最大の要素なのかも知れませんね。
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