きぬきぬ

キュア ~禁断の隔離病棟~のきぬきぬのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

残念ながら未公開、DVD/配信スルーとなってしまったけど、
撮影監督Bojan Bazelli のあまりにも異次元幻想的に美しい映像は映画館のスクリーンで堪能したかったなあ。。

似てる作品といえばスコセッシの「シャッター・アイランド」それだけでかなりネタバレとこれから観る人に先入観を与えてしまうけど、「シャッター・アイランド」と圧倒的に違うのは、錬金術師の科学的な不気味で妖しい治療の描写に、鰻(笑) この作品、群れなす鰻が苦手だとグロテスクさが増しかなりトラウマになるかも。鰻にまつわる嫌~な伝承がたっぷり映像化されてるから。

あ、それとDVDブルレィでは‘衝撃のエロティックサスペンス’と宣伝されてるけど、かなり高年齢の男女の裸ばかり見ることになるわけでして。。(苦笑)

この作品がとても良いのは、富裕層の高齢者が入所するスイスのお城の様な療養所に一人、少女のように若く愛らしいハンナ(ミア・ゴス)の存在で、特別な患者である彼女には未成熟なエロさがある。聖性もあり美しいし、彼女が世俗に触れ町のパブでジュークボックスの音楽に揺れ踊る場面や、禁じられた水浴をする場面など最高に妖しくエロい。

でも本筋はエリートにのし上がろうとした青年(ディン・デハーン)が、その療養所に入所して帰って来ない社長を迎えに行く任務を強いられ、行った先の療養所から出れなくなって酷い目に遭いまくり、そこで隠された恐ろしい秘密を知ってしまうという筋立てなのだけど、彼のトラウマや城に伝わる昔話や状況からの疑心暗鬼の不審感から幻覚や妄想も突っ走り、現実との境界線も曖昧だから、彼がどの時点から狂っていたのかの判別がつき難い。

もしかすると、バロンもハンナも過去の亡霊かもしれないし、不老不死のエッセンスは本当にあるのかもしれない。でも辻褄を合わせる必要はない。そこが魅力的なだから。
確かなことは主人公の青年がおそらく狂っている(狂ってしまった。そして何故狂ってるのかわかるかと言うと、‘歯’が証明してるのだ)ということで、それは解放の意味でもあり、療養所の謎めいた世界はゴシックホラー的でもあるから。
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