アニマル・ウエスタン活劇の大傑作「ランゴ」、アクション・シーンの狂った情熱が凄まじい「ローン・レンジャー」「パイレーツ・オブ・カリビアン」初期三部作といったアクション映画で知られる活劇の鬼才ゴア・ヴァービンスキー監督最新作は、独特の美しさを持つオカルト・ホラー作品。
もう圧倒的なビジュアル・ストーリーテリングの連続!
不穏で美しいだけでなく、カメラワークやカット割を駆使して画で物語るという映画ならではの表現が完璧な形で全シーン全カットで成し遂げられている。ゴア監督の手腕が遂に実写映画でも完璧に活かされた。
画だけでなく音のクオリティも高く、低音を強調した音響設計・音楽共に不穏さを煽りまくっていて良い。
「ザ・リング」の時は馬が印象的だったが、今回でも鰻(大活躍!)を筆頭に鹿や牛といった動物達に独特の恐怖を託しているのも面白い。
俳優陣ではとんでもなく酷い目に遭いまくるデイン・デハーンも良いが、「ニンフォマニアック vol.2」で印象深かったミア・ゴスの儚げでミステリアスな雰囲気が作品のテイストにぴたりと合った。
『治療』という言葉が病気に対してなのか、それとも過酷な競争社会に縛られた意識に対してなのか、二転三転していくのも面白い。最終的に辿り着く所には爽快感がある。
クライマックスは活劇魂が疼いたのか一気にアクティブな演出になるのも愉しい。